会長挨拶(森林利用学会の紹介)

今冨裕樹

森林利用学会会長
東京農業大学教授 今冨 裕樹

学会へのお誘い

 森林利用学会は1951年(昭和26年)、東京大学教授藤林誠先生の時代に研究会(森林利用研究会)として発足し、1993年(平成5年)には日本学術会議の学術団体として登録されました。また、1996年(平成8年)には森林利用研究会から森林利用学会に名称変更されました。研究会時代を含めると約70年近い歴史を有する団体であり、これまでに木材の収穫や森林の造成・育成を対象として林業機械分野、森林作業分野、森林路網分野を中心として研究活動が展開されてきました。

 私は前職場(現国立研究開発法人森林研究・整備機構)において平成18年から21年まで林業工学研究領域の組織長を務めました。林業工学研究領域は森林利用学会で取り扱っている研究分野の研究を推進している領域ですが、私が組織長を担ったあたりから当該研究領域の研究プロジェクトへのリクエスト・参画が増えてきたように感じます。それまでは森林環境保全、生物多様性、地球温暖化対策等に関連する研究領域が研究プロジェクトを多く獲得していました。森林利用学会においては応用的な研究が多く展開されており、その研究成果は実際の森林や林業に大きく貢献するところです。森林や林業に関する研究プロジェクトは公的資金によるものが多いところですが、近年の研究プロジェクトでは実用や普及に供する研究成果の創出が求められています。森林利用学会が取り扱っている研究はまさしくこのような期待に応えることができる分野です。

 さて、我が国の森林の現状をみますと、森林蓄積が充実してきており、森林資源を利用していくことが社会的にも大きな課題となっています。その森林資源利用に密接に関係する森林利用の役割は益々大きくなっていると言えます。その役割を担っていくためにも学会誌や研究発表会を充実させつつ研究成果を創出し、かつ伝えていくことが学会の役割としてあると考えています。また、産業界の状況を的確に把握しながら研究活動を実施していくことが大切です。そのような観点からも研究会活動や現地検討会を充実させながら森林現場や実務の方々と双方向の情報交換をする必要があります。なお、森林利用学については応用研究を担う学問分野ではありますが、研究成果の創出や現場サイドへの研究成果のフィードバックにあたっては常日頃の基礎的研究を充実させて応用に発展させていくことが大切であると考えているところです。会員の皆様のご協力を得ながら学会活動を展開していきたいと考えていますので、会員の皆様の学会活動への積極的な参画・支援を期待しています。