会長挨拶

森林利用学会会長
愛媛大学教授 山田容三

 平成が終わり令和が始まる新年度を迎え、この度、森林利用学会長を引き継がせていただきます愛媛大学の山田容三と申します。地方からの会長職で至らないところも多々あるかもしれませんが、微力ながら務めさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

 私が森林利用学会の前身である森林利用研究会に入会した頃は、上飯坂先生が会長を務めておられ、東京大学と京都大学を中心に教員と学生がたくさん居て、もっぱら架空索理論と路網理論が盛んに論じられていた時代でした。そのような中で、私はどちらというと主流から離れた森林労働科学の道に進み、人間に関する研究を進めてまいりました。そのうち時代は変わり、林業が衰退する中で、森林利用学の担い手もだんだん少なくなってまいりました。自分ではいつまでも若手のつもりで居たのですが、気がつくと還暦を超え、私にまで会長職が回ってくることになり、時代と学会の変化に驚きととまどいを禁じえません。

 日本の人工林資源は成熟期を迎えており、国産材の増産が少しずつですが進んでいます。また、バイオマス発電の全国的展開、ならびに森林経営管理法による「新たな森林管理システム」の導入は、ますます間伐と主伐の促進が求められることになります。このような状況の中で、森林利用学会が長年の研究で培ってきた生産性向上、低コスト化、ならびに労働安全を目指した専門知識と開発技術は、今まさに社会から求められているのではないでしょうか。しかしながら、森林利用学会はそれほど社会的に認知されていないように思われます。

 現在の森林利用学会は、研究の範疇を環境への影響、木材のサプライチェーン、バイオマスならびに皆伐後の再造林にも拡げています。また、最近のITやICT等の情報技術、VRやドローンやロボット化などの最新技術を積極的に取り入れて研究を進めています。しかし、森林利用学会は、木を伐って植えるという森林に直接働きかける分野であるだけに、森林管理の鍵を握っていると言っても過言ではありません。その立ち位置を忘れないようにしながら、SDGs(持続可能な開発目標)に基づいた森林管理を目指した研究と技術開発を、これからも推進してゆきたいと考えます。

 このような森林利用学会の方針と活動を社会に広げ報せるために、学会のホームページと学会誌を改善し、学会と会員からの情報の発信量を増やししてゆきます。また、一般も参加できる企画シンポジウム等の公開イベントの開催をさらに進め、森林利用研究の楽しさと面白さを一人でも多くの人に知ってもらい、将来の森林利用学の担い手の育成をできればと考えています。さらに、産官学の人的つながりを深め、情報交換を進めるとともに、プロジェクト研究への発展を推進するコーディネーターとしての学会の役割を強め、会員の皆様の研究活動を支援させていただきます。

 会員の皆様には、森林利用学会誌への論文投稿ならびに学会活動に奮ってご参加いただき、森林利用学会の発展にご支援とご協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。