第2回研究会
開催日:2018年11月16日(金)
場所:東京農工大学2号館21番教室
趣旨:
平成24年7月に再生可能エネルギー固定価格買取制度FIT(Feed-in Tariff)が開始され,木質バイオマス発電,特に固定価格が高値に設定された未利用木材(森林バイオマス)を燃料とする発電施設が,平成29年3月時点で,全国で122ヵ所認定され,すでに39ヵ所で稼動しています。未利用木材を燃料として利用することは,林業振興や山村の雇用創出などに貢献することが期待されていますが,一方で出力5,000kWで60,000t/年程度が必要とされる未利用木材を買取期間20年間,安定して調達できるかが懸念されています。
そこで本研究会では「日本全国の長期的な森林バイオマス利用可能量推計モデル」を構築することにより,このモデルを用いて施業体系,燃料材価格が変化した場合や収穫技術,路網整備が向上した場合のコスト低減による利用可能量への影響を検討するとともに,FIT終了後の状況についていくつかのシナリオを想定,分析することにより,今後の木質バイオマス発電の採算性向上に資する未利用木材長期安定供給シナリオを提示したいと考えております。
また,これまで用材の生産システムに取組んできた森林利用学会におきまして, FITで認定を受け稼動を開始した発電所に未利用木材を燃料材として供給する事業体を対象として,実際の未利用木材収穫作業を調査し,効率的な未利用材収穫システムを構築し,新たな産業となる森林バイオマスサプライチェーンの確立,そして安定的な未利用木材の供
給体制の構築に貢献したいと考えております。
以上の趣旨により,日頃「未利用木材利用可能量推計および収穫システム」などの研究に取組まれている皆様と深く議論したく,今回,このような研究会を企画いたしました。本研究会では今後も現地検討会や森林利用学会,日本森林学会におきまして公募セッションや企画シンポジウムを開催するとともに,研究成果は森林利用学会誌,日本森林学会誌におきまして特集号として公表していきたいと考えております。多数の皆様のご参加を心よりお待ち申し上げております。
講演:
開催の趣旨について 有賀一広(宇都宮大学農学部)
移動式チッパーによる木質バイオマス生産 吉田美佳(筑波大学)
岡山県における木質バイオマス発電の動向 片桐智之(岡山県農林水産総合センター森林研究所)
山口県における森林バイオマス利用の取り組み~収集運搬システム構築、収集可能量把握等~ 山田隆信(山口県森林企画課)
宮崎県における木質バイオマス発電の動向 櫻井倫(宮崎大学)